EVERNOTE? モレスキン? 各ツールのinboxとしての使い方
こんにちは、あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。
今日は、インボックスにふさわしいツールについて考えてみたいと思います。
inboxというのは、有名なタスク管理手法であるGTDにおいて、まず最初に思い浮かんだタスクやアイディア、その他の思考のすべてを書き留めておくところです。
つまり、ひとまず自分の脳を通過した情報のうち、覚えておかなくてはいけないない内容をすべてメモする「何でもメモ」のようなものです。
このinboxは、「必ず将来、ほかの場所に転記される」という非常に特殊な運命を背負っているため、それにふさわしいツールが選ばれる必要があるのです。
「必ず将来、ほかの場所に転記される」とはどういうことか?
→inboxに書いたままでは、情報を利用することは少ない
→転記する際に、もれなく、間違いなくその情報を呼び出せる必要がある
ということです。
これを踏まえながら、今回はロディア、付箋、モレスキン、測量野帳、EVERNOTEに関して、それぞれ、inboxにふさわしいのかどうか、inboxとして利用する際に、どのような特徴をもつのかを検証していきたいと思います。
また、それぞれのツールに1つ~5つの星をつけて検証していきます。
ロディア
ロディアの最大の特徴は、切り取ることができる、ということです。もっとも扱いやすいサイズはNo.11やNo.12あたりではないでしょうか。
これらは、ポケットやサブバッグなどにも気軽に入れることができる上、手のひらに収まるサイズですので、いつでもどこにでも持ち運べてinboxとしては便利かもしれません。
転記のことを考えると、内容を書き込んだメモをマスキングテープなどに貼っていく、あるいは単純に書き写してもとのメモは捨てる、という2つの方法が考えられます。
ただ、このロディアをinboxとして使うには、少々問題があります。それは、切り取ったメモをどうするか、ということ。このたぐいのメモ帳は、書き込む→使う→切り取って捨てる というフローで使うことが想定されており、しかも、いちばん上にあるメモを切り取ることではじめて、次のメモが使える状態になります。
切り取らずに下のメモに書いてもよいのですが、非常に扱いづらいこと必至です。
何より、「次に書く白紙のページ」が、何枚もの書き込み済みのメモをパラパラめくってようやく現れる、というのは、なにかアイディアがひらめいてからメモするまでのスピードを削ぐことになります。さらに言えば、いちど切り取ったメモは別にケースなどを用意しない限り、非常に保管しづらいですしね。
というわけで、ロディアの評価は以下の通りです。
★★☆☆☆
書きやすさ ◎
見返しやすさ ×
保管しやすさ ×
転記しやすさ △
品質 ○
コストパフォーマンス ○
付箋
お次はこれです。付箋。
付箋の特徴は、少なくとも何度かは貼り直しができる、ということです。そのため、非常にフレキシブルに「とりあえずどこかに貼っておいて、あとから必要に応じて並び替えをする」ということが可能です。
もっと具体的に言えば、アイディアやタスクなどを書いた付箋をinbox用のノートに貼っておき、「次にやるノート」や「アイディア帳」など、必要に応じた場所に貼り替えて処理されるのを待つ、ということができるのです。
転記の手間がいらない、というのがこの付箋の最大のメリットではないでしょうか?
ただ、逆に言えば、貼るべき場所が用意されていないと、単体ではとても保管できない、ということ、そして、ハードに扱ってはノートなどのページから剥がれ落ちやすい(そのため、貼り替えも2回ていどが限度ではないでしょうか?)ということが大きなデメリットです。
そういうわけで、付箋の評価は以下です。
★★★☆☆
書きやすさ ◎
見返しやすさ ×
保管しやすさ ×
転記しやすさ ◎
品質 △
コストパフォーマンス ○
モレスキン(ポケットサイズ。ハードカバー)
言わずと知れた高級ノートの代表格、モレスキン。今回はinbox用という設定であるため、もっともスタンダードなタイプと思われる、ポケットサイズのハードカバーを候補とさせていただきました。
このモレスキン。ハードカバーの特徴は、なんといってもその堅牢なたたずまい。堅い表紙で保存性が高く、この硬さのおかげで、立ったまま片手で保持して書ける、というのも人気の秘密ではないでしょうか?
立ったままメモが取れることに関しては以前も記事にさせていただきましたが、inboxに使うツールとしては、非常に高いアドバンテージがありますよね。
ただ、転記するということを考えると、やはり、片手にモレスキン、片手に転記する先のノートなどを持って、ひとつひとつ書き移していかなくてはいけない、という点は少し不便なのかもしれません。
一方でモレスキンはその値段の割に、裏抜けしやすいなど紙質に少々、難があることや、かなり高価であるため、実はコストパフォーマンスはあまり高くないのではないか、という点もよく指摘されます。
というわけでモレスキンの評価は以下のようにさせていただきました。
★★★☆☆
書きやすさ ◎
見返しやすさ ○
保管しやすさ ◎
転記しやすさ ×
品質 △
コストパフォーマンス △
測量野帳
測量野帳はページ数が40枚(80ページ)と少ないながらも、1冊200円以下で購入できるお手頃さ、そして、しっかりとした厚みのあるページと、堅い表紙で便利に使える手帳です。
コスパ面だけを見てみると測量野帳が1冊200円としても1ページあたり2.5円、対してモレスキン・ハードカバーのポケットサイズが1冊196ページ、2000円としても1ページあたりの価格が10.2円ですから、その差なんと4倍です。コスパの面では、どうみてもモレスキンに勝ってますよね。そのためモレスキンの下位互換用としても利用していただける商品です。
ではinboxとしてはどうなのか。これまでみてきた通り、綴じ手帳というのは転記のしやすさという面において、若干不利です。どうしたって馬鹿正直の書き写す、という作業をせざるをえませんからね。
ただ、単純な書きやすさという面では、薄くて気軽にポケットなどに入れられること、コスパが高いので遠慮なく紙面を使えること、など、inboxにふさわしい面を持っています。
そんなわけで、測量野帳の評価はこのようになりました。
★★★★☆
書きやすさ ◎
見返しやすさ ○
保管しやすさ ◎
転記しやすさ ×
品質 ○
コストパフォーマンス ○
EVERNOTE
最後はEVERNOTEです。このEVERNOTEはご存知のとおり、パソコンでもフラウザ上でも、そしてiPhoneやAndroidなどでも使える非常に高機能なメモアプリ。これをGTDのinboxとして使うとどのようなパフォーマンスを発揮してくれるのか見ていきましょう。
まず、EVERNOTEの最大の特徴はオンライン(やそれぞれの端末のローカル)に情報を保存するものであるため、これまでみてきたメモetc.とはそもそも根本的に異なります。
しかし、スマートフォンでも気軽に利用できるその便利さから、ノミネートさせていただきました。
Inboxとしての特徴は、なんと言ってもその転記のしやすさ。というか、もう転記する必要がありません。デジタルですから、パソコンに書いた文章の続きを、電車内でiPhoneで書く、ということも普通にできるのです。
たとえば「来年の年賀状を早めに書く」と、ふと思いついてEVERNOTEにメモしたとして、時間に余裕ができたときにそれを「inbox」のノートブックから「プロジェクト」のノートブックに移し、そのノート内に「デザイン案を考える」「年賀状を出す人をリストアップする」「妻の意見をきく」などの、そのプロジェクトに属するタスクを付け足してく、ということもできるわけです。
このように、EVERNOTEをinboxとして使う場合は、非常にスムーズにそれを「次にやるリスト」や「プロジェクト」に転記することができるのです。「ノートブック」や「タグ」などの機能を駆使することで、手帳を使わなくても便利に情報管理ができてしまいます。
また、間違って削除でもしない限りは書き込んだ内容をなくすこともありませんし、強力な検索機能により、10年前に書いたメモでも便利に探し出すことができます。
ただ、書きやすさという点ではやはり紙のメモに出遅れている感は否めません。ふとアイディアを思いつく→スマートフォンを取り出す→EVERNOTEアプリを起動する→新規ノートを作成する→文字を打ち込むという何段階かの一連の動作が必要であるうえに、それぞれ、ノートを読み込んだり、更新したりするために数秒、待たされることもザラです。
最新の機器であればあるほど、また、ネット環境がよくなるほどこの問題は改善されていくのでしょうが、それでも、スマホは使い込むうちに動作は遅くなっていきますし、ネット環境も整っている場所ばかりではありません。
そんなわけで、EVERNOTEはこれまでみてきた何種類かの紙のツールとは逆に、転記がしやすく書き込みがしづらい、という印象ですね。
★★★★☆
書きやすさ ×
見返しやすさ ◎
保管しやすさ ◎
転記しやすさ ◎
品質 ○
コストパフォーマンス ○
このように、書く段階では測量野帳、書いたあとではEVERNOTEがinboxとして優れたツールである、と結論づけることができます。紙に書くのが好きな人は測量野帳、デジタルが好きな人はEVERNOTEがおすすめです。
今回は扱いませんでしたが、このほかにロルバーンなどもinboxとして使いやすそうですね。
以上、トム・ヤムクンでございました。
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