二次創作物を売っちゃだめだよ、ということを述べる話
海賊版もだめだけど、二次創作も売っちゃだめだよね
みなさんこんにちは、あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。
漫画の海賊版サイトが問題になっていますよね。
ただ、僕はこれと同様に、前から気になっていたことがあるんです。
二次創作ってあるじやないですか。漫画やアニメの絵とかをまねて、素人の作家とかが自分の作品を書いて売り出すやつ。いや、個人で楽しんでいたりするぶんにはよいのですが、
僕、あれの頒布と販売に反対です。
もちろん、作者が明示的に認め、法律上もオーケーの場合は別ですよ。
ただ、上記のような条件が揃っていないのに、「リスペクトしてるからいいでしよ」っていう感じで二次創作の頒布とか販売とかするのはダメですよ。それをよしとしている昨今の市場は、ちょっとどうかと思います。
いや、僕も村上春樹の文体パクってよく文章書きますけれども、文体は著作物ではないですからね(笑)
↑みなさんはこちらの海賊をお楽しみください。
なぜ二次創作の販売・頒布がだめなのか
どうしてかといえば、頒布権と販売権などの諸権利は作者に帰属するからです。
そして、ここが大事なのですが、「大多数の作家が二次創作オーケー」と明示していても、「だから二次創作の頒布と販売は無条件でオーケー」というルール・慣習にしてはダメ、だということです。
このことを、わかりやすく例えてみたいと思います。
わかりやすく例えちゃうよ!
とても貧しい国があり、多数の貧しい人と少数のお金持ちがいたとします。
見かねたお金持ちA氏がこのように決意しました。
「多数の恵まれない人々のために、恵まれている我々は私財を提供するべきだ。今日から、望む人はだれでも我が家の食卓に招き、パンとスープを無償で与えよう」
A氏はそのことを新聞広告に載せました。貧しい人々はA氏の食卓に群がり、さらには冷蔵庫の中身を勝手に食べることさえしましたが、A氏は当然のようにそれを受け入れました。
A氏はそのことを新聞広告に載せました。貧しい人々はA氏の食卓に群がり、さらには冷蔵庫の中身を勝手に食べることさえしましたが、A氏は当然のようにそれを受け入れました。
その様子を見ていたB氏はこう考えました。「なるほど、A氏のしていることは立派だ。私も人々の役に立ちたい。今夜から、我が家でもパンとスープを人々に無償で提供しよう」
B氏はそのことを新聞広告に載せました。彼の食卓にもその日から貧しい人々が招かれるようになり、A氏と同じようにパンとスープ、そして冷蔵庫の中身を提供しました。
B氏はそのことを新聞広告に載せました。彼の食卓にもその日から貧しい人々が招かれるようになり、A氏と同じようにパンとスープ、そして冷蔵庫の中身を提供しました。
これらの行動によって、A氏とB氏は徳のある人物として名声を得ました。
次の日の晩、別のお金持ちC氏は、妻と二人で夕食のテーブルについていました。妻は、「A氏とB氏が貧しい人々に食物を提供しているらしい」という話題を持ち出そうとしていましたが、夫が新しい鉱山開発の話に夢中になっているため、タイミングが掴めずにいました。
そのとき、貧しい人々がC家の食卓に大挙して押しかけ、テーブルの上の料理に群がり、それらを手づかみで食べ、あまつさえ冷蔵庫を勝手にあけて、ミルクやオレンジや生ハムやチーズやアイスクリームを奪い、去ってゆきました。
そのとき、貧しい人々がC家の食卓に大挙して押しかけ、テーブルの上の料理に群がり、それらを手づかみで食べ、あまつさえ冷蔵庫を勝手にあけて、ミルクやオレンジや生ハムやチーズやアイスクリームを奪い、去ってゆきました。
さて、この話の中で責められるべき人はいるでしょうか? いるとすればそれは誰でしょうか?
↑パンとスープに関してはこちらの作品でもよく取り上げられています。
え、なにが悪いの?
これはね、責められるべきはどう考えても「C氏の家から食べ物を奪っていった人々」ですよ。理由は簡単。「C氏は食べ物を無償提供すると認めていない」からなんですね。
あるいはこれから、C氏が他のお金持ちの行動について知ることで、あるいは食べ物を奪われたことをキッカケにし、「私もこれからA氏とB氏にならって食べ物を人々に提供しよう」ということになるかもしれません。
しかし、どう考えても「いま、この時点ではそう考えてはいない」ですよね。
そうである以上、C宅の食べ物はC氏の私有財産ですし、それを勝手に食べたり、持ち出したりすることは犯罪行為なわけです。
著作物もそれと同じです。頒布したり内容を改変したり、あるいは販売したりする権利は、作者あるいは作者がそれを譲渡した相手(出版社など)にのみあるはずです。
つまり、
・たとえ、大多数の作家が二次創作物の販売や頒布を認めていたとしても
・それによって、たとえ結果的に作家の側に多大なる恩恵が与えられたとしても、
・明示的に二次創作物の販売や頒布を認めていない以上は、それを認めてはいけません。
これを守らずに「二次創作物の販売はみんながやってるし、作家をリスペクトしてるからオッケー」という態度で何でもかんでも頒布・販売をするのは、海賊版の漫画と同じではないでしょうか。
そもそも作家の頒布権、販売権というのは、作家がその作品をお金にかえ、食っていけるように独占が許されているわけです。
二次創作の頒布と販売は、これを損ないます。一律に認めることは、作家が食えない状況をつくり、ひいては消費者がよい作品を享受できなくなってしまう。そのような状況はぜひとも防ぐべきだと思いませんか?
トム・ヤムクンでした\(^o^)/