高校演劇の脚本を自分たちで書きたいときにやってはいけないこと (1)準備編
そもそも自分たちで脚本を書いてはいけない
舞台を観ずに書いてはいけない
- 「絵」が演じるアニメを、人間の演技で踏襲しようとすると不自然になりがち。
- 1クール何話もやるようなTVアニメ作品を念頭に置いて60分で完結させなくてはいけない舞台の脚本を書くと、回収できない伏線などをたくさん書きがち。
- (だから、できれば実写映画でさえも不足で、舞台をたくさん観たほうがよいわけですが)
でも急ぐ、という方は……
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- 今日:この記事を最後まで読む(というか読んでください。お願いします_(_^_)_ )
- 明日~:ハリウッド映画の超有名作品(『アルマゲドン』とか『タイタニック』とかそういうの)を2本観る(4時間くらいならなんとか時間とれません?)できるだけジャンルの違うものがよい(ミステリとSFなど)。プロの演劇を収録した映像を、DVDなどで観ることができるのであれば、それでもいいでしょう。
- 明後日~:脚本を全力で完成させる
2.を実行するのが適切かどうかは人によります。
- これまで豊富なジャンルの観劇や映画鑑賞、読書の経験がある人
- もうその映画を観る4時間さえ惜しい超お急ぎの人
- なにか作品を観るとすぐに影響されてしまい、パクリをしてしまう可能性が高い自覚のある人
は、2.を飛ばしてすぐに作品にとりかかるべきでしょう。
逆に、
- これまで偏ったジャンルの作品しか観たり読んだりしていない人、アニメやライトノベルしか観たり読んだりしていない人
などは、いままで観たり読んだりした偏った内容を踏襲してしまう可能性がありますので、まったく別ジャンルの映画を観て頭をリセットさせたほうがよいでしょう。
(ハリウッド映画をとくにおすすめするのは、ああいったものは形式主義化された「お約束」にのっとって脚本が書かれており、だからこそ面白く、多くの文化圏の人に訴える力があるからです)
プロットを書かずに本文に取りかかってはいけない
プロットは、ここでは以下のようなものだと思ってください。
- お正月。お餅を食べながらぐうたら過ごすのび太
- 机の引き出しから、のび太の子孫と名乗る未来人セワシと、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる
- セワシは、このままではのび太はろくな大人にならず、ジャイ子と結婚した上に大きな借金を背負い、ダメな人生を送ることになると告げる
こんな感じです。プロットはいわば作品の設計図。「こういう感じで書こうと思っている」というプランです。
このプロットを書くメリットは、
- 本文にとりかかる前に内容の詳細な計画を立てることができる
- 回収できない伏線を書こうとしてしまっていた場合や、矛盾などをあらかじめ察知して修正できる
などです。
「私、キャラが勝手に動いてくれるのを重視したいから、プロットは書かないことにしているんです。なにしろ自分の作品のキャラを愛してるんで」という方がしばしばいますが、これは非常に危険な考えです。
あなたの言う「キャラ」なるものは、現実に存在しませんし、決して意志をもつことはありません。なにしろ人間でも、動物でさえないのですから。作品を書くのはあくまであなた自身です。「キャラ」は決して締切を意識してはくれませんし、あなたのかわりにキーボードを叩いてくれるわけでもありません。
だから、計画的に脚本を書くためにプロットを書きましょう。プロットのない脚本は、計画性のない海外旅行のようなものです。インドに行くだけ行って宿もとっていなかったら、宿探しだけで1週間の旅程を終えるのがオチです。
というわけで、今回は高校演劇で脚本を書く際の準備についてお話しました。次回はいよいよ、脚本の内容に関する「やっていはいけないこと」に入っていきます。
トム・ヤムクンでした。
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