モチベーションの高さ別 二種類の文章構成法(1) ~書きたくて書いてる文章編~
文章を書くには二種類の方法がある
みなさんこんにちは。あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。
今日は「文章の書き方」についてのお話です。
社会人であれ学生であれ、日本に住む大半の大人が「文章を書く」ということと無縁ではないでしょう。
そのための訓練を、われわれは小学校の国語の段階からおこなっているはずなのですが、にもかかわらず「文章を書くのってなんだか苦手」と考えている方は多いですよね。
どのような場面であれ、文章を書く際に注意していただきたいのは以下の点です。
すなわち、文章はある観点で分けた2つの種類に応じた、まったく違う適切な書き方というものがあり、種別Aの文章に対して種別B向きの書き方をしたり、種別Bの文章に対して種別A向きの書き方をしてしまうと、まったくスムーズに書けないので注意が必要なのです。
2種類の文章って何と何なの?
この2種類とはけっきょく何なのかと言いますと、「小説と詩」とか「論文と日記」とかそういうことではありません。
1. 自分にとって書くモチベーションが高い文章と、
2.モチベーションが低い文章です。
実は日本の作文教育には、ある大事な視点が抜け落ちているのです。それは、「人は文章を書きたくて書いていることもあれば、そうでないこともある」という視点です。
子供のころ、夏休みの宿題の読書感想文がキライで仕方なかった、という方は多いでしょう。しかし、学校からは「おもしろいと感じた点を伝えよう」とか、「登場人物への手紙を書くつもりで気もちを伝えよう」とかいう的はずれなレクチャーを受けるばかり。これは、「子供たちは良い本を読んだら、それについて誰かに何かを『伝えたくなる』に違いない」というよくわからない思い込みがあるからなんですね。
しかし。「本そのものが面白かったかどうかは別にして、別にこの本について誰かに何かを『伝えたい』と思ったわけではない」と感じていたのは僕だけではないはずです。
モチベーションが高い文章とは?
書き手にとって書くモチベーションが高い文章というのは、すなわち、ブログに書いている日記や好きな人へのメール、LINEでの噂話、などです。
これらの文章は基本的に「書きたくて書いている」ものですので、当然ながら「何を書くか」という内容はすでに書き手の頭の中で出来上がっている場合が多いです。
こういった文章は熱のこもったものであったり、面白い文章になることも多いのですが、反面、熱意や情熱ばかりが先走ってしまって、読み手にはけっきょくなにも伝わらない、ということになることも多いのがリスクです。
じゃあモチベーションの低い文章って?
これに対して、書き手のモチベーションの低い文章とは、学校で書かされる読書感想文大学の興味のない授業のレポート、反省文のたぐい、そして、特に特別な出来事がなかったのに「1000字以上書け」と強制される会社での日報や週報のたぐいです。また、就活の際の「志望動機書」などもこれに入るでしょう。
これらはとくになにかの内容を書きたいわけではなく、「書かなくてはいけないから書く」だけですよね。当然ながら、「さて、何を書こうか」と考え込んでしまう人も多いはずです。
いつまで経ってもできあがらなかったり、無理やり字数を埋めるために「そういえば最近、~というニュースがあったが、この件についても共通した問題を見出すことができ――」などと、関連情報で字数を埋めるだけで「けっきょく何が言いたいの」と読み手に思わせてしまうことになりがちです。(実際、「言いたい」ことなどないのですから当然とも言えます)
このように、書き手のスタンスによって、全く違った面でメリットとリスクが伴う2つの種類に、文章を分けることができます。ということは、違ったアプローチを使うべきである、ということはパリの灯を見るよりも明らかですよね。
モチベーションの高い文章の書き方
モチベーションの高い文章の書き方は以下の通りです。
1.書きたいと思っている内容をひとまず箇条書きで羅列する
まず、その文章で自分が書こうと思っていることを箇条書きにしましょう。
このときに便利なにはwordやパソコンのメモ帳ソフト、あるいはEvernoteなどのメモアプリですね。
あとから順番を入れ替えたりするので、最初からデジタルで入力するのが近道です。
小説やエッセイなどのクリエイティブな文章だったり、緻密な構成を要求されるときはいったん紙とペンで書き始めたほうがよい場合もあります。
2.そのなかで、「もっとも書きたい内容(その文章のテーマ)」をひとつ選ぶ
思いつくことを箇条書きで書きだしたら、今度はそのなかから、その文章のテーマを決めましょう。
文章のテーマは、その箇条書きの中にふさわしいものが含まれていることもあれば、箇条書き全体を見渡した結果、見いだせるという場合もあります。
ここで選んだテーマは、あなたがこの文章で「表現すべき内容」です。つまり、完成した文章を読んだ人の頭のなかに、そのテーマで表現される思想なり主張なりが残ればいいわけです。
たとえば刺身が大好きな僕が「公立小学校の給食で毎食、刺身を出すべきである」という「主張」を文章のテーマに選んだとしましょう。
それを表現するために、僕は以下の文章を書くことになります。
「私は公立の小学校の学校給食に毎食、刺身を出すべきだと考える。刺身というのは海が多くの人の身近にあった国である日本において、非常に古い時代から食べられてきた食物であり、日本料理の原点といっても過言ではない。また、海の恵みである魚肉を新鮮なまま食べるというおこないは、子どもたちの心のなかに食物への感謝を育てることにも寄与するはずである。
たしかに、鮮度管理や食中毒問題を危惧する向きは多いだろう、しかし、それらの諸問題は以下の方法によって解決可能であると私は考える。すなわち――」
この文章を読んで「そうか、たしかに公立小学校の給食では、毎食、刺身を出すべきなんだろうな」という考えが読み手の頭のなかに浮かべば、すなわちこれが「文章によってテーマが伝達された」という状態であり、その文章の目的は達成された、といえるのです。
3.テーマを表現するためのトピックを3つ選ぶ
次は、上記で選んだテーマをさらに具体的に表現するための小テーマを選びます。これも、箇条書きのなかから選ばれることが多いでしょうが、あらたに書いてもかまいません。
この小テーマは
・3つ選ぶこと
・それらを
序論(これからこういう話をしますよ、という導入の内容。下記の「結論」と大差なくてOK)
本論(自分の選んだテーマ、すなわち主張や思想などが正しいといえることの証拠、根拠を並べていく)
結論(以上をふまえて、端的に主張を述べる)
の順になるように並べる
というのがポイントです。
そして、ここで書いたことは、そのまま「序論のテーマ」、「本論のテーマ」、「結論のテーマ」となり、それらを表現するためにまた、長い文章を書いていく、と考えてください。
先ほどの僕のテーマの例でいえば、以下のように書くことができます。
テーマ:「公立小学校の給食で毎食、刺身を出すべきである」
序論:学校給食を多くの生徒が残す、という件が以前、話題になったが、私はこの学校給食に関して「毎食、刺身を出すべきだ」という提言をしたい本論:刺身は日本の食文化の原点であり、栄養も豊富で、鮮度や食中毒の問題に関しても解決可能である
結論:公立小学校の給食で毎食、刺身を出すべきである
結論と序論はどう違う?
結論と本論はどう違うんだ、と考える方も多いかもしれません。
結論では、テーマ、平たく言うと「言いたいこと」をそのまま書くのに対して、序論は「こういう話題ってみなさんも知ってるでしょ? 私、あれに関して言いたいことがあるんです」と、導入の役割を果たすことが多いです。
つまり、いきなり言いたいことを言ったってみんな「ぽかーん」ってなるだけだから、相手の「なじみのある話題」から「自分が主張したいけれども相手にはなじみのない話題」へと、橋渡しの役割を果たすものと考えていただければいいでしょう。
「モチベーションの高い」文章でこのように、「テーマを表現するために話題を厳選する」という過程を踏むことで、とかく熱意ばかりが先走ってしまいがちな文章を、質の高いものにブラッシュアップすることができるのです。
次回は、いよいよみんなの困りがちな「モチベーションの低い文章」についてお話します。
トム・ヤムクンでした★
1件のコメント