高校演劇の脚本を自分たちで書きたいときにやってはいけないこと(3)~やったほうがいいこと編-上~
埼玉からこんにちは、あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。
前々回と前回にわたって、「高校演劇の脚本を自分たちで書きたいときにやってはいけないこと」についてご紹介しました。
それで、今回は「じゃあ結局どうすればいいの?」という方のために、具体的な手順をさわりだけお伝えします。
「さわりだけ」なのは、「本当に具体的に」書こうとすると1冊の本になってしまうレベルのお話だからで、それはこのシリーズの主旨に沿わないため、カンタンな内容のみお伝えしようと思うからです。
まず、これらのサイトを読もう
「物語の書き方をシステマティックに教えてくれる」という主旨であれば、このたぐいのお話はわざわざ僕などがしゃしゃり出なくても、偉大なる先人たちが何人もいます。
僕が本気でおすすめするのがこの2つのサイトです。
・ブレイク・スナイダーの作劇法および「プロット・ライン」という概念
・ぴこ蔵さんの一連のサイト
wikipediaの記事ですが、ハリウッドの脚本術の分析に関して非常に高度な仕事を残したブレイク・スナイダーの作劇法が参考になります。
もう一方は、セミナーやKindle本などで物語の書き方を教えてらっしゃる日本人「ぴこ蔵」さんのサイトです。肝心な部分は有料になっているのですが、無料で読めるブログだけでも、非常に有益な知識が身につきます。スナイダーに関する記事が難しくて挫折した方は、こちらのほうがわかりやすくてよいかも。
具体的な手順
それでは、時間がなく、詳細に作劇法なんて学んでいられない、という方が、カンタンに脚本を書く方法をご紹介いたします。
アイディアをつくる
ここでのアイディアは、「ストーリー」であることもあれば「登場人物」であることもあり、また、「舞台となる世界観」である場合もあります。アイディアは基本的に「計画的に思いつける」ものではないので、どんなものでも大丈夫です。
『ハリー・ポッターと賢者の石』を例にとって説明していきます。
もしJ.K.ローリングでなくあなたがあの作品の作者であったとしたら、いったいどんなアイディアが創作のきっかけになったのでしょうか?
たとえば、
・錬金術の話で聞いたことのある「賢者の石」についての物語を書けないか
という、題材に関するアイディアかもしれませんし、
・現代イギリス人の男の子が魔法使いになって活躍する話を書きたい
・少年少女がなにかの技術を身に着けながら成長していく話が書きたい
というストーリーからの発想であるかもしれません。
あるいは、
・いじめられっ子が不思議な力を手に入れていじめている奴らを見返す
という、人物にフィーチャーしたものであることもあるでしょう。
(くどいようですが、僕は「キャラ」という概念の利用に懐疑的ですのでこの言葉は使いません)
アイディアをふくらませる
最初の段階で考えたアイディアをもとに、作品のくわしい内容を考えていきます。
どのようにふくらませるか、というとこれまた長い話になってしまうのですが、ここでは「マインドマップ」という技術が効果を発揮するでしょう。参考になるサイトはいくらでもありますので、ぜひ検索してみてください。
さきほどの「アイディア」のくだりでもお話しましたが、アイディアじたいは人物についてのものであることもあれば、ストーリーであることもあり、また、その物語の設定や、重要な題材(「賢者の石」「タケコプター」「誰からもらったのかわからないラブレター」など)であることもあるでしょう。
しかし、完成した物語にはそのどれもが必要です。
つまり、ニンジン(アイディア)だけが手元にあって、カレーライスを作ろうと思いたち、そのほかのルー、ジャガイモ、肉、などのほかの材料を買い集めていく作業が、この「アイディアをふくらませる」くだりにあたるのです。
・人物についてのアイディアのみある場合→ストーリーや物語の設定、重要な題材を考える
・ストーリーのアイディアのみがある場合、物語の設定や重要な題材を考える
ということです。まあ当たり前といえば当たり前ですが、くれぐれも人物の設定で押し切ろうと書き始めて、ストーリーがグダグダにならないように注意してください。
だいたいのストーリーを決める
ここまできたら、次は物語全体を4つのパートに分けていきます。1パート400字で、それを4パートですので全体で1600字くらいになりますね。(あくまでも目安の数字なので2000でも1000字でもいいですが、多すぎるのはいけません)
4段階の文章でストーリーを書く、というと、「起承転結」に分けるというイメージ強いと思いますが、あれは実際には漢詩の構成法がもとになったもので、脚本などのストーリーには、映画の脚本術で使われるものを活用するのがおすすめです。
じゃあそれってどういう構成なの? という疑問には、また次回お答えするとともに、その細かい内容を見ていきたいと思います。
つづく
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