大学入試の小論文攻略(3) ~社会的なできごと編~

こんにちは、あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。

 
ここしばらく小論文について扱っていますが、今回取り上げるのは、「社会で起きている事件やできごと」を題材とした小論文です。小論文といえば、まずこのタイプの文章を思い浮かべる方も多いでしょう。
 
この類の小論文は、「そもそもその話題について知らなければ手も足もでない」と怖気づく方もいるかもしれませんが、それは半分正解です(笑)。
 
このように入念な下準備が欠かせないのがこの類の小論文。いったい、どのように攻略していけばよいのでしょうか?
 
 

取り上げられる話題の傾向を見つけよう

と言っても、まったくゼロから予測するとか、あるいは世の中のありとあらゆるニュースをくまなく知らなくてはいけないわけではありませんので安心してください。
 
このタイプの小論文で取り上げられるものは、あるていど予想がつくのです。
 
 
1.過去問から傾向を読み取ろう
言うまでもありませんが、自分が受験する大学の過去問はかならずチェックしましょう。出題傾向を掴むことができます。
 
世間で話題になっている重要な問題について知っておくことももちろんですが、その学部・学科の内容に沿ったもの(経済学部ならTTPとかオリンピックとか)や、「世界中で話題になっていることか、あるいは日本を中心に話題になっていることか」、また、「去年、注目を集めたニュースか、あるいはここ数年、継続的に話題にされていることか」などの観点で過去問のテーマを眺めてみると、おおよその傾向を掴むことができるでしょう。
 
 
2.取り上げられる題材の発表時期・ソースに注意しよう
大学側にしてみれば、入試問題を作るのはけっこう神経を使う作業なのではないでしょうか?  なにしろ、ちょっとしたミスが受験生の人生を左右してしまいますので、かなり前から入念な準備がおこなわれるはずです。そういうわけでたいてい、小論文のネタは、「前の年の何月ごろのニュースから出題される」など時期が決まっています。
 
また、ソース(元ネタ)になる新聞の新聞社なども、一定の範囲におさまっている場合が多いです。同じ新聞から毎回、ネタが採られている、ということもあります。
 
 
 

あらゆることに(ウソでもいから)意見を持とう

さて、この類の小論文に取り組む際にいちばんやっかいなのが、「これについてあなたの意見を述べなさい」という設問です(というか、小論文は必ず意見を求めてくるものですが)。
 
「年金制度に意見なんかねぇよ」「国際協力における日本の立場なんかに興味ないし」というのが多くの受験生の本音ではあるのでしょうが、それを素直に原稿用紙に書いていいのはもう本命の志望校への合格が決まって、消化試合で受験をしに来た人だけです。
 
特に、社会的なできごとを扱った小論文の出る大学を受ける人は、日頃から「ありとあらゆることに――それこそそのへんを飛んでいる蚊からベネズエラの国民総生産まで――意見をもつ」ことができるように訓練することが大切です。
 
と言っても、人間である以上、興味をもてない(すなわちとくに意見のない)話題も多々あるのが現実。ここで目指すべきは、「ウソでもいいからなにか意見っぽいことが言えるようにしておく」ことです。
 
蚊を見たら地球温暖化によって彼らが日本にも運んでくるようになるマラリアを、ベネズエラの国民総生産を見たら日本との比較を――とにかく、なにか「語れそうな話題」をそこから呼び覚ますことで、どんな小論文の課題にも対応できるようになります。
 
 
 

テーマについて

さて、実際に書く段になったら、まずは「これについて書こう」というテーマを見つけなくてはいけません。
 
「テーマを見つけるも何も、最初から『消費税の増税について書け』って書いてあるじゃん。トム・ヤムクンったら、アホなのかしら」とか言うのは早計。それじゃ入れない早慶。
 
それはいわば大学側からの「お題」であって、あなたが書く「テーマ」ではありません。
 
わかりやすく言うと、「消費税の増税について書け」は大学側からの「お題」、それに対して「消費税の増税を闇雲にするより、まずは少子化対策に取り組まないと元も子もなくなる」があなたの書くべき「テーマ」です。これは、「意見」と言い換えてもいいでしょう。
 
小論文では、この「意見」を序論(文章を3つの意味段落にわけたうちの最初の段落)に書きます。
 
 

「意見(判断)」で話を始め、「主張(提案)」でまとめよう

小論文というのは、
「序論(これからどんなテーマについて話すか。この件に関して、自分はどういう意見を持っているのか)」
「本論(自分がその意見を述べる根拠など)」
「結論(自分の意見を前提とした、『今後、この問題にはこう取り組むべき』という主張)」
 
の3パートからできています。
 
先ほど、「お題」と「テーマ(意見)」は違うよ、というお話をしました。
もうひとつ理解しておいてほしいのは、「意見」と「主張」がどう違うか、ということ。
 
よくある間違いとしては、最初に
 
私は、消費税をこれ以上上げるべきではないと考える
 
と「意見」を述べ、
 
ラストでも同じように
 
以上にことから、消費税は上げるべきではない
 
と「意見」を書くパターンがあります。
 
完全に間違い、というわけではないのですが、ここでは「意見(すなわち状況の判断)」が正しいことが論証されたあとなので、それを受けて、「ではどうすればいいのか」ということを提案するとよいでしょう。
 
例としては、
「この場所で交通事故が多いのは車から歩行者が夜間には見えにくいからだ」というのが「意見」、
「だから、街灯を設置するとともに『歩行者注意』の看板を掲げるべきだ」というのが「主張」です。
 
つまり、「この問題の原因や背景はこれである」という「判断」が「意見」で、「この問題を解決するにはこうすべきだ」という「解決策の提案」が(主張)にあたる、というわけです。
 
これを意識して書くことで、より価値ある文章に仕上げることができるはずです。
 
 
 
次回は「抽象的なテーマ」の小論文について取り上げます。
 
トム・ヤムクンでした(^o^)
 
 
 

 

トム・ヤムクン

ライフハックと手帳を駆使して作家を目指している人。得意分野は手帳と日本史。Twitterアカウント:@tomyumkung01 ※このブログはAmazon.co.jpアソシエイトに参加しています。