一般論の森と形式主義の谷

会議で迷い込みがちな森と谷

みなさんこんにちは、あなたの街の文系男子、トム・ヤムクンです。

いつもタスク管理や手帳などに関してこのブログでご紹介していますが、今日はちょっと概念的なお話をしたいと思います。

 

一般論の森と形式主義の谷

みなさん、「一般論の森と形式主義の谷」の話を聞いたことがあるでしょうか?

おそらくないかと思います。これは僕の造語だからです(笑)

これは組織での方針決定のための会議だとか、個人であっても何かしらの決断をするタスクを実施していく場合に陥りがちな罠のことです。

今回は、これらがどういうものであるのか、またその対策などに関してお話ししていきます。

 

一般論の森とは何か

「一般論の森に迷い込む」とは、「やっぱりコミュニケーションは大事だよね」とか「報連相をしなきゃね」などといった、一般的に大事だと思われているテーゼに捕らわれてよくない結果を出してしまうことです。

たとえば「コミュニケーションが大事」というテーゼに関してはもちろんそれは真理であるのですが、だからといって部署内での会議を週1で開催するべきかどうか、というのはまた別問題です。

連絡事項があるのであれば通常のコミュニケーションツールで十分対応できますし、親睦を深めるために会議をしたところでなかなか成果が上がらないということはよくありますよね。

(この場合は「会議をしたから成果が上がっている」と「上の人々」が誤解することも往々にしてありがちというのもまた問題なわけですが)

ともかくこのような状況が「一般論の森に迷い込む」ということです

 

なぜこれがだめなのか

このように、ご紹介した一般論の森は「非常に深く暗く、旅人を迷わせ二度と出てこられない迷宮である」ということを身をもって知っている方も多いことでしょう。

しかしなぜこれがだめなのか。

まず「ことわざだとか格言のようなものは、どんな状況でも一概に真理だとは言えない」ということを無視しています。

あれは「こういうのが当てはまるパターンが多いよね」という程度のことであって、現実の世界を生きていれば「犬も歩けば棒に毎回当たるわけではないし、豚に真珠を与えてもうまく活用してくれる」かもしれません。

それと同じように、コミュニケーションを図ろうとして大事な人件費や、他の仕事に回すための時間を無駄にしてしまうということはありがちなのです。

 

対策

このように非常に恐ろしい一般論の森に、我々はどのように対処すべきなのでしょう? どうすればここに迷い込まずに済むのでしょうか。

タスク管理や GTD の文脈で、「具体的な行動レベルまでアクションを決めよう」などといったことは言われます。

つまり

×電気代を支払う → ○現金をおろしたうえでコンビニに振込用紙を出す

のようなことです。

これは一つの有効な手段かと思います。たとえば「コミュニケーションが大事だ」と会議で誰かが発言し、それを基にして今後の方針を決めようとした際に、

コミュニケーションって具体的には何を指しますか?

ときいてみましょう。

「それは親睦を深めたりだとか……」などといった 自信なさげなつぶやきや、

キレ気味な「コミュニケーションはコミュニケーションだろ」といった循環論法が聞こえてきたらここはツッコミどころです。

・どんなツールで

・いつ

・誰が

・何を

・どのように

・何を目的にして

行うのかという具体性のない方針である場合は、それをもとに今後の細かいタスクを決めていくのは危険です。

それよりも、

「各メンバーの仕事の進捗状況を3日に1回は全員に共有する」

 などという、より具体的でその情景が映像で想像できるような目標を掲げ、それを実現するためのツールなりルールなりを考えていったほうが生産的ではないでしょうか。

   

形式主義の谷とは何か

それでは形式主義の谷とは何でしょうか。

一般論の森が目標レベルの間違いであったのに対して、これはどちらかというと目標に対する「具体的な行動」の間違いです。

すなわち、

「このチェックリストにチェックが全部入れば OK」

だとか、

「ひとまず伝達すべき伝達事項を行えば OK」

などのように、その目的が何なのかを考えず決められた動作をすればそれで OK と考えた結果、迷い込んでしまう谷のことです。

ヘタすると足を滑らせて川に流されたり、落石によって頭を強打する危険があります。

もちろん「具体的なタスクというおっことにあまりにを配ることなく崇高な目的だけを掲げて、結局は具体的な仕事が進まない」というジレンマにも陥りがちなのですが、僕がここで警鐘を鳴らしたいのは「『目的にかなった』具体的なタスクをやってるか」どうかというお話です。

個々のタスクを実施する際でなく、そもそもやろうと思い立った際にこれが目的にかなったものかどうかを吟味することが大事だという話なのです。

さて話を戻してますが、この形式主義の谷に迷い込んだ場合、それが「目的にかなっているかどうかということは別にして、とにかくそれをやれば OK」 という思考に陥ってしまいがちです。

たとえば「店舗を閉める際のチェックリスト」の全部のボックスにチェックが入っていても、そのリストにはない項目――窓を閉めること――ができていない、という場合がありえますよね。

また、部署の新しい方針をメンバーに伝達したところで、説明が難しくてメンバーが理解できなかったといったことが、この形式主義の谷では起こるわけです。

このような恐ろしい形式主義の谷に迷い込まないために、我々はどうするべきなのでしょうか?

 

対策

まず「目標と目的を分けて考える」というのはひとつの有効な手段でしょう。

「目的」は例えば「 クリスマスイブの夜の家族で楽しく過ごす」ということだとすれば、

「目標」は「クリスマスケーキをお得に手に入れる」ということだったりします。

しかし人はクリスマスケーキをお得に手に入れるためにクリスマスイブの夜を歩き回って2時間を無駄にし、家族をほったらかしにしてしまうということを起こしがちです。

ここで目的をしっかり意識していれば「ケーキは無しでプリンにする」という選択ができるはずです。

目標と目的を混同することあるいはそもそも目的を意識していないことによって、形式主義の谷はあなたに狙いを定め、自らの中に誘い込もうとその口を大開きにするのです。

ですからそれぞれの行動に対する目的をきちんと把握しておくことは有効でしょう。

   

まとめ

以上、組織や個人の仕事・生活で迷い込みがちな、一般論の森と形式主義の谷についてお送りいたしました。

先ほど申し上げたようにこれは僕の造語なので、みなさん、ぜひぜひいろんな場面で使って広め、流行語大賞を一緒に目指しましょう。

トムヤムクンでした。 

トム・ヤムクン

ライフハックと手帳を駆使して作家を目指している人。得意分野は手帳と日本史。Twitterアカウント:@tomyumkung01 ※このブログはAmazon.co.jpアソシエイトに参加しています。